■「地域における映画上映状況調査〜映画上映活動年鑑2006」発行

 エース・ジャパン/コミュニティシネマ支援センターでは、「地域における映画上映状況調査 映画上映活動年鑑2006」を発行いたしました。
 この調査は、財団法人国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)が、文化庁の支援を受け、文化庁平成18年度芸術団体人材育成支援事業における調査事業の一環として実施したものです。
 「地域における映画上映状況調査〜映画上映活動年鑑」の発行は、2002年、2003年、2004年に引き続き、4回目となりますが、2004年度は「非映画館」での上映活動を調査しましたので、映画館での上映活動を中心に据えた調査としては3回目、2年ぶりのものとなります。
 2003年から2005年にいたる2年間で、日本の興行地図は大きく変化しました。この変化をもたらした最も大きな要因は、もちろん、シネマコンプレックスの増加です。スクリーン数は増加し、映画館への年間入場者数も増加しました。一言でいえばそういうことになります。しかし、この「一言」で言われる「変化」の背景には、様々なことが隠れています。そして、この隠れていることの中には、既存館の閉館と中心市街地の空洞化の進行、公開作品数の激増と作品間格差の拡大、地域のミニシアターの苦境など、非常に重大な問題が含まれています。本調査は、こういった、表面に現れにくい問題を提示するために実施しているものです。現状の変化に対して、これまでの調査の方法が効果的であるとはいえなくなり、充分な分析をすることが困難となったことなど、課題も残りましたが、いまだ進行中の地域における映画状況の変化の実態をご覧いただくことができます。

○ A4版 224ページ (2007年3月発行)
○ 販売価格 2,500円(税込) ※送料別:300円

◇ご購入方法 ◇
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■「映画上映活動年鑑2006」内容
[1]地域における映画上映状況のデータ 2005年1月〜12月

@都道府県について  
 人口/映画館数/スクリーン数/スクリーン当り人口/年間入場者数/スクリーン当り入場者数/
 一人当たりの映画鑑賞回数
 映画館分類(分類項目:外国系シネコン/国内大手シネコン/地元系シネコン/大手既設館/
 地元既設館/ミニシアター)
A 都道府県で最も人口の多い都市について
●1 基本データ
 人口/映画館(種別・スクリーン数・年間上映本数・スクリーン当り本数・スクリーン当り人口・
 新作公開作品数の比率)
●2 映画館における上映作品の分類とその比率・・・上映作品を下記に従って分類
 邦画/洋画分類(劇場公開作:新作/旧作)
 邦画分類(大手三社/大手独立系/その他)
 洋画分類(ハリウッド/英語圏/ヨーロッパ/アジア/中南米他)

[2]全国の主な映画祭及び主な公共上映(コミュニティシネマ)リスト
 全国で定期的に開催されている映画祭のリスト
 全国の公共上映団体リスト

[3]全国集計と分析
 表1:全国映画興行状況 / 表2:映画館の種別とスクリーン数(都道府県)/ 表3:映画館の
 種別とスクリーン数(都市別) / 表4:都市別上映作品分類 / 表5:都市別/2005年封切
 作品公開率 / 表6:映画館と非映画館の上映本数(都市別)

■ 2005年の映画上映状況の分析(抜粋)
1.公開作品数が飛躍的に増加――561本から737本へ
公開本数737本は、率にして31%、本数にして実に176本もの増加。

2.公開作品における作品間格差の拡大

ひとつの建物に10前後のスクリーンを持つシネコンが、多様な選択肢を観客に提供することになる──シネコンが誕生し始めた頃、そんなふうに言われた。しかし、現実には、一部の大ヒット映画がかつてないほど多くのスクリーンを占有し、「多様性」の面では、より画一的な方向へ向かうことになり、その傾向は続いている。
「単館拡大公開」という新たな公開方式の定着…
単館拡大公開作品
…都内の単館系の映画館複数で公開し、地方都市でもある程度の規模で一斉公開する作品。シネマコンプレックスの登場・定着によって新たに誕生した公開の方式である。
東京の変化
全国一斉公開されるチェーン公開作品の本数は2003年から2005年のいずれも150本前後。
2005年に増えた177本は、単館系での公開作品。単館系公開作品…411本〜587本に増加。
単館系の劇場はさほど増えてはいない…一本当りの平均公開期間が大幅に縮まっている
 ・興行の大勢を占めているチェーン公開(全国一斉公開)作品においては、公開本数に変化はない。
 ・チェーン公開ではない単館系劇場での公開作品が激増。
 ・チェーン作品と単館作品の格差がさらに拡大。
 ・「単館拡大」公開が加速。
 ・単館作品の中でも興行的な作品間格差が広がり、二極化が進んでいる。
 ・単館作品の中にこれまで以上に興行的に小粒な作品が激増し、それらすべてを「公開作品」として扱うことが困難な状況にある。

3.地方都市における変化〜シネコンの新規開業によってスクリーン数は245増加〜公開本数・公開率が増加…
・新たにシネコンが開業した都市の場合…宇都宮市・和歌山市・秋田市・高知市

…シネコンの開業によって公開率が増加…4都市の平均公開本数は219本で93本増加、 公開率の平均は29%に上昇。
・ミニシアターがある地方都市の場合…山形市・金沢市・新潟市・大分市
…公開本数は225本から281本と56本増加しているが、公開率は38%でほとんど変化していない。
ミニシアターがある地域では、もともと高かった公開率が概ね維持され、ミニシアターのない地域ではシネコンによって公開率がある程度まで引き上げられている。
・シネコンでは…チェーン作品は150本であり、その隙間に、ヒットの可能性を持つ単館拡大公開作品50〜70本が公開されている。
・ミニシアターのある地域では…それに加えて50〜70本の「ミニシアターでしか公開されない映画」が見られる状況になっている。
・従来ならミニシアターにかかるはずだった作品のうち、ヒットの可能性を持ったものがシネコンに流れる…
これまでミニシアターを経営的にかろうじて成り立たせてきたいくつかのヒット作がミニ・チェーン作品としてシネコンで上映される。
・「公開率」の高さが必ずしも映画文化の成熟度のバロメーターとは言えない…
非常に短期間に小刻みに公開される作品が増加。「公開」とは・・?

4.映画館以外の上映活動
映画館以外の公共施設などで上映される作品本数は、率としては前回2003年と変わりがない(劇場86・非劇場14の割合)。映画の多様性を確保する意味での「非劇場上映」の重要性と存在感には大きな変化は生じていない。
・「映画祭」の増加
・本格的な国際映画祭と映画専門施設の存在意義

5. コミュニティと映画〜地域における「映画館」の意味を問い直す〜今後の課題


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